外連味
外連味(けれんみ) 「俗受けをねらったいやらしさ。はったり。ごまかし。」
この言葉をずっと探していました。
というのも、美術館に行くとたまに「これはやっつけだろう」と思うものに出会うことがあり、とても不快に感ずるのです。
何かを表現したくて、結果的にartと呼ばれるものが出来上がるというものこそ「art」だと思うのです。
そこには思考・思想が先行し、技術はそれを表現するための道具に過ぎません。
です外連味のある何か(artではない)は、artを凌辱しているよう感じます。
稀に、技術を振るい、奇をてらうことにより”artっぽいなにか”を作る人がいます。これを「art´」とします。
「art´」はからっぽなのです、入っているものは作者の浅ましさと薄っぺらい後付けの思考ではないでしょうか。
artを”作ってしまう”人たちの思想や苦悩など(言葉では表現できないなにか)の高密度な集合体であるart作品の中身と比較したら瞭然でしょう。
そういう「art'」を外連味アートなんて呼んではいかがでしょう。
さすればart淘汰のハードルはあがり、artの精度が上がるかもしれません。
ただ、おもしろいのがartとして認知されることが多いみたいです。わかりやすく・派手でimpressiveなもの。そういったものは食べやすく消化しやすいものです。ぱっと見て視覚的に「こりゃおもしろい」と思わせるものは人気です。
しかしですね、わかりやすいもの=いいものでもないかもしれません。
むしろ逆かもしれません。
軟らかいものを噛まずに食べ続けるとどうなるでしょう、噛む力が無くなり、硬いものが食べられなくなります。そうすると硬いものにしかない味・噛むという行為を失います。
さて、歯を退化させる"軟らかいもの"は果たして本当に”いいもの”でしょうか。
artに戻ります。
初見で理解不能なものは”硬いもの”です。それを何とかして噛み砕こうとすることが楽しかったり・楽しみであったりします。そうすると硬いものが引き起こす喜びというものはひとしおといえます。
art民度が上がれば「art'」なんて出てこれなくなりますね。
そんな世界は来ないかな。